法事の意味、服装・髪型、準備方法、お供えもの

法要を準備する上での注意点・ポイント

法要
法事(法要)をおこなう人にとっても、参列する人にとっても、実際の法事のルールや注意点は分かりにくいものです。法事は亡くなった故人を偲び、集まった親族や友人の絆を深くするものでもあります。そのような場で、服装や髪型、さらにはお供えものなどで恥をかかない為にも正しいルールを学んでおきましょう。

【もくじ】
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1.法事の意味とスケジュール
2.法事で着るべき服装
3.法事での髪型
4.法事の流れと所要時間
5.法事での香典(お供え料)と包み方
6.法事のお供え
7.法事の準備の仕方<主催者>
8.お布施の相場と渡すタイミング<主催者>
9.法事の挨拶<主催者>
10.法事におけるお食事(お斎)<主催者>
11.法事のお返し(引きもの)<主催者>
12.まとめ

1.法事の意味とスケジュール

法事とは、亡くなった方の冥福をいのり、その魂を慰めるための儀式で、「法要」とも呼びます。それでは実際の法事の意味と、法事のスケジュールについて解説します。

(1)法事の意味

釈迦
仏教では人が亡くなってからの7週間を「中陰(ちゅういん)」と言い、この期間に閻魔大王が1週間にいちど、つまり7回も裁判をおこなうとされています。生きている間の功徳と罪業によって地獄にいくかどうか裁かれます。この7週間の裁判のあいだ、死者はあの世で行く場所が決まるのを待つためあの世とこの世をさまよっています。

そのため死者の魂が無事に極楽に行き、成仏できるように1週間ごとに供養するようになりました。このことを「追善供養」といい、厳密には1週間ごとに供養することが良いとされています。

(2)法事のスケジュール

重要な法事(法要)は初七日、四十九日、1周忌、三回忌、七回忌、十三回忌、三十三回忌の7回です。

三回忌までは近親者や友人を招きますが、七回忌以降は遺族・親戚のみでささやかにおこないます。また三十三回忌を最後に「弔い上げ」といって、法事を切り上げるのが一般的です。なぜならば仏教では死後33年経過すると、どんな人でもあの世で無罪放免となり極楽に行けると言われているからです。

法事名 経過年数・日数 備考
初七日 死後7日目(死亡日含む) 葬儀当日に火葬後の遺骨迎えと併せて行うのが一般的
四十九日 死後49日目 忌明けの法要。お墓がある場合はこの日に納骨する
一周忌 死後1年 近親者や友人を招く。この日に納骨する場合もある
三回忌 死後3年(亡くなった年も含めて3年) 死後満2年目に行い、どんなに遅くてもこの日までには納骨する。友人を招く最後の法事。
七回忌 死後7年 遺族、親戚など内輪でささやかにおこなう
十三回忌 死後13年 遺族、親戚など内輪でささやかにおこなう
三十三回忌 死後33年 遺族、親戚など内輪でささやかにおこない、弔い上げとする

2.法事で着るべき服装

服装
葬式と異なり、法事でも喪服を着るべきか迷ったことはありませんか?法事をおこなう家や、地域の風習、さらには葬儀から日数が経つと、着る服装も変わっていきます。日数が経つほど法事の服装はカジュアルになり、遺族も参列者も喪服などを着るのはせいぜい三回忌までです。法事での服装のポイントは、三回忌までは「喪服もしくは略礼装」、七回忌以降は「平服」という点です。それでは具体的なケースごとに法事の服装を解説します。

◆ポイント:略礼装と平服の違い
略礼装: 冠婚葬祭用のブラックスーツ/ドレス・ワンピース
平服: ビジネスでも使えるダークスーツ/ドレス(黒、濃紺、グレー色もOK)

(1)女性の服装

法事での女性服装

法事における女性の服装は、三回忌までは喪服や略礼装(かんたんな正装)を着ます。それ以降は「平服」は平服でもOKです。

<三回忌まで>
女性の法事での略礼装は、黒色のスーツ、ワンピース、アンサンブルスーツに、黒か肌色のストッキング、黒系のパンプスを着用します。

<七回忌以降&平服を指定されたとき>
ただし三回忌を過ぎたり、施主側から事前に平服でよい連絡が来ていた場合には、平服を着るべきでしょう。女性の法事における平服とは、黒をはじめグレーや濃紺など地味な色のスーツ、ブラウス、スカート、ワンピースです。

(2)男性の服装

男性用法事スーツ
法事における男性の服装も、三回忌までは原則として喪服や略礼装を着用し、七回忌以降は平服でも構いません。

<三回忌まで>
男性の法事での略礼装は、ストライプなどの無いブラックスーツ、白無地のワイシャツ、黒色のネクタイ、黒色で飾りの少ない革靴です。

<七回忌以降&平服を指定されたとき>
三回忌を過ぎた法事や、平服でも構わない旨の連絡が来ていた場合には平服を着ます。男性の法事における平服とは、ブラックスーツやダークスーツ(グレー、濃紺色)など地味な色のスーツです。

(3)子供の服装

法事用子供服
子供も一緒に法事に参列する場合、基本的には学校の制服が最適です。ただし、学校の制服がない場合には、男子は白色のシャツにネクタイと黒色のブレザーとズボン、女子は黒色のブレザーとスカート(もしくはワンピース)が良いでしょう。

また幼稚園生に満たない子供や赤ちゃんの場合は法事に参列させること自体おすすめできませんが、もし参列しなければならない場合には黒色や灰色などできる限り地味な服装を着せるようにしましょう。

(4)夏場の服装

夏の場合、どうしてもジャケットを脱ぎたくなったり、クールビズで臨みたい気持ちが出てきます。ただし、施主や僧侶は正装である場合も多いので、法事の最中だけはできる限りジャケットを羽織るようにしましょう。もちろん移動中は脱いでいて構いません。

(5)冬の服装

冬の法事においては女性の場合、略礼装の場合だと寒いと感じることも多いと思いますが、そんな場合でもブーツは厳禁です。寒くてもシンプルで地味な靴を履くようにしましょう。

(6)法事での靴・足元

法事では、男女問わず靴は黒色が基本です。できる限りシンプルな黒色な靴(男性は革靴、女性はパンプス)だと良いでしょう。光沢感のあるエナメル素材などや、留め具などに金属や装飾がある靴は避けるべきです。もちろん女性はサンダルやミュールなどは厳禁です。また夏で暑い場合もあるかもしれませんが、女性は黒か肌色のストッキングを履くようにしましょう。

(7)法事におけるアクセサリー

基本的に法事ではアクセサリーは身に着けません。ただしパール系(真珠など)の一連ネックレスや時計は付けても良いです。結婚指輪に石が付いている場合には、石を裏側に回して、周りの人に配慮する必要があります。

(8)法事におけるバッグ

バッグもできるだけシンプルなものを選びましょう。素材は布や牛皮、合成皮革などが良く、エナメル素材やポリエステルなど光沢感のあるもの等は避けましょう。シンプルで地味なものであればブランド製のバックでも構いませんが、ブランドのロゴが大きく入っているもの等はやめましょう。

3.法事での髪型

髪型
男性と違い、女性の場合には法事に出席するときの髪型も悩むポイントです。どんな髪の長さであれ、髪型であれ、共通して言えるのは「法事の髪型は地味に」という点です。なぜなら法事は亡くなった人を思い出し、その人の魂をなぐさめるための行事だからです。

普段、女性であれば髪型や髪色で華やかさを出し、自分の個性を主張したいと思いますが、法事ではその気持ちをグッと抑えて我慢してくださいね。

◆髪型の注意点・ポイント
ポイント1:髪色は地味めに
金髪や明るい茶髪の人は、色を黒めに落とした方が良いでしょう。なぜなら金髪や明るい茶髪は、「亡くなった人を静かに偲ぶ」という法事の意味から反していますし、ご自身も周囲と髪色の違いで浮いて恥ずかしい思いをすると思います。

ポイント2:編み込みはしない
法事において、編み込みは極力避けたほうがベターです。なぜなら編み込みというヘアスタイルはそもそも華やかさを演出するための髪型なので、法事には不向きなヘアスタイルです。

ポイント3:シュシュは使わない
髪をまとめるためにシュシュは手軽で便利ですが、法事においては使わない方がよいです。なぜならシュシュは髪型を華やかにし、女性を素敵に演出するためのもので、「静かに故人の魂を慰める」という法事の趣旨に合っていません。

(1)ロングの髪型の場合

ハーフアップ

ハーフアップ


ロングの女性が法事に参列する場合には、そのままのダウンスタイルでは華やかさ過ぎますし、毛先が揺れたり、バラつくことは法事という場には不似合いです。ロングの場合には、黒ゴム、黒色のUピン等をつかってハーフアップなどにするとよいでしょう。また、シニヨンやギブソンタックなどの髪型にすると、ロングでもすっきりまとまります。もちろんシニヨンの位置をサイドにしたり、個性や派手さを出すことは厳禁です。

(2)セミロングの場合

シニヨン

シニヨン


セミロングの女性が法事に参列する場合、ハーフアップ、シニヨンやギブソンタックの髪型が良いでしょう。忙しくて時間のない人は「くるりんぱ」でも構いません。またネット使った低い位置でのお団子でもOKです。ただし、お団子の位置を高くしたり、ネットの色を黒色以外にすると、逆に派手になってしまうので、お団子にするときは必ず低い位置にし、ネットは黒のみのものを使いましょう。

(3)ミディアムの場合

ギブソンタック

ギブソンタック


ミディアムの女性が法事に行く際、パーマをかけていないのであれば、ワックスやスプレーですっきりとまとめるぐらいでもよいでしょう。ただしミディアムでパーマをかけている場合にはギブソンタックでまとめるとスッキリするので、おすすめです。また髪のボリュームが少ないとは思いますが、ネットを使ってお団子にするのもアリです。またミディアムの毛先を内側に巻いてボブヘアにするアレンジもありますが、華やかさが出る場合もあるので、あまりおススメしません。

(4)ボブ・ショートの場合

ボブやショートの女性が法事に出かけるときは、ワックスやスプレーでスッキリきれいにまとめておけば大丈夫です。毛先がまとまる事を意識してヘアセットすれば、それだけで清潔感が出るでしょう。

4.法事の流れと所要時間

お布施
法事に参列する時、大まかな流れや所要時間についても分からないと、次の予定やスケジュールを入れにくいですよね。結論から言えば、会食がない法事は1時間程度、会食があれば2時間~3時間程度です。それでは詳しい流れと所要時間について解説します。

(1)集合

寺院、墓地などいずれの場所で法事をおこなう場合も、施主は早めに到着しておきましょう。法事を始める前にも僧侶に一度ご挨拶しておくのが礼儀です。
家で法事をおこなう場合は、事前に家(難しい場合は参列者が集まる場所だけでも)をキレイに掃除しておきましょう。

(2)僧侶入場

僧侶が入場したら、参列者一同は黙礼(黙ったまま一礼)して迎えます。

(3)僧侶による読経

宗派やお経にもよりますが、僧侶による読経は長くても30分が目安です。

(4)ご焼香

僧侶による読経が済んだら、焼香します。焼香の順番は、施主、家族、参列者の順番に行います。参列者の人数にもよりますが、焼香は10分程度が目安です。

(5)僧侶による法話

ご焼香を終えると、僧侶による法話(お話)があります。葬儀の時と同じ僧侶であれば、ある程度故人の人柄などを汲んだ話にしてくれる場合もあります。法話は長くても10~15分程度でしょう。
つまり一同の入場から僧侶の法話までが1時間程度の目安となります。

(6)お墓参り

遠方にお墓があるなどの場合を除き、法事では可能な限りお墓参りをしましょう。法事でのお墓参りには供物、供花、ロウソク、線香を持参しましょう。四十九日では、納骨、埋葬をおこないます。また、浄土真宗以外の方は卒塔婆供養することも可能です。

(7)会食(お斎)

僧侶も交えて参列者たちと会食(お斎)を取ります。会食前には施主から参列者に対して御礼のご挨拶をしましょう。またこの会食には、亡くなった故人を通して、親戚同士が絆を強める懇親会的な要素もあります。会食は1時間~1時間30分程度を目安にお開きにしましょう。

(8)散会

会食の終わりに施主から終わりの挨拶をしたうえで法事を散会にしましょう。

5.法事での香典(お供え料)と包み方

お坊さん
法事における香典(お供え料)の金額相場は、法要の形式や地域の慣習、故人との関係によって様々ですが、ここでは一般的な法事の香典相場について解説します。

(1)法事の香典金額

法事における香典金額は下記のようなパターンで分かります。
・親戚(身内): 1万円~3万円
※ただし、関係が薄い親族は額を少な目にしても良いでしょう。
・故人の友人: 5千円~1万円

(2)法事の香典の包み方

ご香典
香典の書き方は下記のパターンで分かれています。
・四十九日前:  表書きに「ご霊前」と書きます
・四十九日以後: 表書きに「ご仏前」と書きます

・関東: 白黒の水引
・関西: 黄白の水引

6.法事のお供え

果物
法事に参列するときにお供えものを持参する場合があります。地域の慣習や亡くなった方との関係性にもよりますので、事前に施主(法事をおこなう責任者)に確認を取ると良いでしょう。
ここでは法事のお供え物としてふさわしいものや、お供え物の金額などを解説します。

(1)お供えにふさわしいもの

◆お菓子:焼き菓子、ゼリーなど
⇒生クリームを使用する洋菓子は日持ちがしないので、あまりお勧めできません。お菓子をお供え物とする場合は、クリームを使用しない和菓子の詰め合わせや、おせんべい等が無難です。また、フルーツゼリーや水ようかんなどのお菓子もお供えものとしてオススメです。

◆食品・飲料:佃煮、かまぼこ、酒、お茶など
食品をお供えする場合は、佃煮やふりかけ、かまぼこ等、日持ちがするものがオススメです。また飲料の場合は、故人が好きだったお酒やお茶などでも良いでしょう。

◆果物:日持ちのする果物
⇒果物を贈る際には日持ちのするものを選ぶと良いでしょう。ただし、お店の人もよく知っているので、「法事用に果物を贈りたい」と相談すればどのような果物が良いのか選んでくれるでしょう。一般的には法事用のフルーツギフトセット等が販売されているので、これらのセットを選んでも良いでしょう。

◆生花:百合、菊、胡蝶蘭など
⇒花を供える際は、百合や胡蝶蘭、菊などを贈ると良いでしょう。生花店に行って「法事用の花を贈りたい」と相談すれば、法事用の季節の花々を用意してくれます。もちろんトゲのあるバラや派手な色の花は法事用には向きません。さらに、ドライフラワーやブリーブドフラワー等の造花も法事のお供えものとして向いていません。故人の魂を慰める場にはできる限り生花(生きたままの花)をお供えしましょう。

◆法事の消耗品:ロウソク、線香など
⇒法事のお供え物としてとても無難なのがロウソクやお線香です。これらは法事や日々の供養でも使用するので施主側にとっても有り難いものです。ただし、大勢がロウソクや線香をお供えすると、逆に余ってしまうので、事前に施主に相談してみても良いでしょう。

(2)お供えの包み方と渡し方

せっかく良いお供えものを選んだのに、渡し方が残念な方が時々いらっしゃいます。正しいお供えものの渡し方を解説しますので、最後までキッチリとお供えしましょう。

◆お供え物の包み方
現物のみでお供えしてはいけません。かならずのし紙に包みます。四十九日前は黒白の水引、四十九日後は双銀の水引がプリントされているのし紙に「御供」と表書きします。

◆お供え物の渡し方
お供え物を持参したときは、いきなり直接仏前に供えてはいけません。必ず施主(法事をおこなう責任者)に「ご仏前におそなえください」と一声かけてお渡ししましょう。

(3)現金でお供えする場合

最近では品物ではなく、現金でお供えするパターンも増えてきています。
相場は5千円~3万円程度です。親族など近しい関係だったり、法事後の会食(お斎)に参加する場合には、1万円以上を包むのが一般的です。逆に親族でもなく、会食(お斎)にも参加しないのであれば、5千円でも構いません。

7.法事の準備の仕方<主催者側>

法事の準備
法事を行うには具体的にどのような準備をすればよいのでしょうか?ポイントは4つありますが、3か月前(忙しくても1か月前)から法事の準備し始めると良いでしょう。
それでは法事を準備する際のポイント4つを解説します。

(1)日時を決める

法事は「祥月命日(しょうつきめいにち)」と言って、亡くなった日時のとおりに行います(例:2月13日が命日であれば、1周忌は1年後の2月13日)。

しかし、実際に祥月命日のとおり法事をおこなうと参列できない人も多くいるため、一般的には土日に法事を開催するのが一般的です。ただし、祥月命日に法事を行わない場合には必ず命日より前の土日にするようにしましょう。

(2)場所を決める

日時を決めた後は、法事を開催する場所を決めましょう。本来であれば、自宅か菩提寺で法事を開催するのが一般的ですが、最近では菩提寺を持つ人も少なくなっているため、お墓などの法事ホールで開催するケースもあります。

菩提寺で開催する場合には施主(法事の責任者)がお寺まで出向いて僧侶にお願いするようにしましょう。また夏はお盆と重なって僧侶も忙しくなるため、夏場に法事を開催する場合にはなるべく早めに依頼すると良いでしょう。

(3)人数・会食・引き物を決める

日時と場所が決まったあとは、法事に招く人数や会食、引き物を準備しましょう。四十九日と一周忌までは故人の友人も多く招きますが、三回忌以降は遺族や親せきのみでこじんまりと法事を行うのが一般的です。実際に参列してくれる人数によって、会食の席や引き物(参列者への手土産)の数も変わりますので、少なくとも1か月前~半月前までには人数を確定させるようにしましょう。

(4)案内状を用意する

法事の日時、場所、人数、会食などが決まったあとは、案内状を送ります。一般的には往復はがきで当日の情報を書きこんだうえで、返信はがき側に「御出席(  名様)」、「御欠席」と記載したうえでお送りします。
詳しい法事用案内状の例文は、以下の図をご覧ください。

法事用返信はがき

法事用返信はがき

8.お布施の相場と渡すタイミング<主催者側>

法要
法事で悩むことの1つに、僧侶へのお布施の金額です。僧侶に聞いても「お気持ちで結構です」と言われてしまうケースも多いので、実際にどれくらい渡せばいいのか悩む人も多いです。またお布施を渡すタイミングも悩むポイントの1つですので、詳しく解説します。

(1)法事におけるお布施相場

住む地域や習慣、菩提寺との関係の深さによってお布施の金額も変わりますが、下記にお布施の相場を記載しますので、目安にしてみてください。
・お布施:30,000~50,000円程度
・お車代:5,000円程度
・お膳料(食事を辞退した場合):5,000~10,000円程度

(2)法事でのお布施を渡すタイミング

法事でお布施を渡すタイミングは、僧侶がお経を読み終えたあとです。お布施を渡す前に簡単にお礼の挨拶をしたうえで渡すようにしましょう。もし僧侶も会食に参加する場合は、食事を終えた後に同じようにお礼を一言述べたうえでお渡しするようにします。

(3)法事でのお布施の渡し方

法事でお布施を渡すときは直接渡すのではなく、袱紗(ふくさ)や切手盆に載せて渡します。また、お布施を渡す際には表書きが僧侶側から見て正面になるようにします。

9.法事の挨拶<主催者側>

ご挨拶
法事において挨拶をするタイミングは主に2つあります。一つ目は僧侶を呼んで読経してもらう前、二つ目は会食(お斎)の前です。それぞれのタイミングでの挨拶例も含めてご紹介します。

(1)僧侶の読経の前での挨拶

僧侶が読経をする前に施主から簡単に挨拶をおこないます。ここでは、法事に来てもらった御礼を述べますので簡単で構いません。

◆読経前の挨拶例
本日はお忙しい中、○○の□□回忌にご参列をいただきまして、誠にありがとうございます。それではこれから法要を始めさせていただきますので、皆さまよろしくお願い致します。

(2)会食(お斎)の前での挨拶

会食(お斎)を始める前に、施主から参列者に対して御礼を述べます。ここでは忙しいなか法事と会食に参列してくれた方々に感謝の気持ちを伝えるため、回忌ごとに内容を変えて挨拶をおこないます。

◆四十九日の会食(お斎)前の挨拶例
本日はお忙しい中、○○の四十九日法要にお越しいただき誠にありがとうございました。
葬儀の際にも皆さま方には甚大なるお世話を賜り、ありがとうございました。これも皆さまのお陰と深く感謝しております。
本日は忌明けで、○○もあの世へと旅立つ日と住職(和尚)様から伺いました。私自身の心の穴はまだ空いたままではありますが、○○もあの世で元気でやっていけるよう、私自身も身を引き締めて元気を出してやっていこうと思う所存です。
ささやかではありますが、粗餐をご用意いたしましたので、ゆっくりとおくつろぎいただければと思います。また、○○の思い出話などがあればお聞かせいただけると嬉しいです。
本日はまことにありがとうございました。

◆一周忌の会食(お斎)前の挨拶例
本日はお忙しい中、○○の一周忌法要にご参列いただき、まことにありがとうございました。心から厚く御礼申し上げます。
○○が亡くなって、はや一年。亡くなった当初はただただ茫然とする日々を過ごしておりましたが、ようやく徐々に正気と元気を取り戻すようになりました。これもひとえに支えてくださった皆々様のお陰だと感謝しております。
気持ちばかりではありますが、ささやかな酒肴をご用意いたしました。ごゆっくりおくつろぎ下さいますよう、お願い申し上げます。
本日はまことにありがとうございました。

◆三周忌の会食(お斎)前の挨拶例
本日はお忙しい中、○○の三周忌法要にご参列いただきまして、誠にありがとうございました。
早いもので○○が亡くなってから三年が経ちますが、この三年の間に皆さまから支えていただいたおかげで普段の生活を早く取り戻すことができました。また改めて○○の存在の大きさに気づいた三年間でもありました。
ささやかではありますが、酒肴をご用意いたしましたので、ゆっくりとおくつろぎいただければと思います。
本日は誠にありがとうございました。

10.法事におけるお食事(お斎)<主催者側>

会食
法事では一般的に僧侶による読経のあとに、僧侶も交えて参列者と会食を取ります。この会食はお斎(おとき)と呼ばれています。では会食(お斎)の詳しい内容を解説します。

(1)会食(お斎)の席順マナー

会食の最上席には僧侶に座っていただき、施主は僧侶のそばに座って僧侶をもてなします。また家族は末席に座って、会食の配膳を手伝うほか、ほかの参列者に適宜話しかけるなど気を使いましょう。ちなみに、一般の参列者(友人や親せきなど)の席順には、特に決まり事がないので、到着した順から座っていただくと良いでしょう。

(2)会食(お斎)の食事メニュー

四十九日までは忌中なので、精進料理(肉を控えた料理)をふるまうのが一般的です。そのため、寺院ではなく一般の料亭やレストラン、仕出しを利用する場合には「法事での利用なので精進料理は出せますか」などと事前予約の際に伝えておくことが必要です。ただし、四十九日を過ぎると、厳密な決まりはないので、肉や魚などを使った料理でも問題ありません。最近では日本料理ではなく、フランス料理やイタリア料理などのお斎も増えています。

(3)会食(お斎)の時間や締めの挨拶

会食(お斎)は一時間、長くても一時間半程度までには終わらせるようにしましょう。ただし、お酒が入っている人もいるので、頃合いを見て施主から締めの挨拶をしたうえで、会食をお開きにしましょう。

◆会食時の締めのご挨拶例
本日はお忙しい中、○○の□□回忌にお集りいただきまして、ありがとうございました。お話し中の方もいらっしゃったかと思いますが、この場を締めさせていただければと思います。本日は誠にありがとうございました。

(4)法事で会食(お斎)をしない場合

回忌が進んだ時や時間を省略する場合など、最近では会食(おとき)を省略するケースも増えていますが、会食を省略する場合には参列者にはお礼状を添えて引き物を渡したうえで散会します。

11.法事のお返し(引きもの)<主催者側>

引きもの
法事に来てくれた方への御礼のお返しには何を贈れば良いか悩みますよね。ここではお返し(引きもの)について詳しく解説します。

(1)法事のお返し(引きもの)にふさわしいもの

法事に参列していただいた方へのお返し(引きもの)は、基本的にはお供えものと似た品物で構いません。表書きには「志」、「粗供養」などと書き、水引の下に施主の名前を書きます。
◆お菓子:焼き菓子、ゼリーなど
◆食品・飲料:佃煮、かまぼこ、酒、お茶など

また最近ではもらった側が自由に選べるカタログギフトを贈るケースも増えていますので、何を贈れば良いのか迷った場合にはカタログギフトという選択肢もあります。

(2)お返し(引きもの)の挨拶文例

お返し(引きもの)の挨拶文例は下記のとおりですので、ご参考ください。

◆挨拶文例
謹啓
この度は過分なお心遣いをいただき誠に有難く
厚く御礼申し上げます
ささやかではございますが供養の印に心ばかりの品を
お送りさせていただきます
どうぞお受け取りいただきますよう
お願い申し上げます
簡単ではございますが
まずは御礼かたがたご挨拶申し上げます
謹白

12.まとめ

まとめ
いかがだったでしょうか?法事の服装、髪型、お供えものなどについては、注意しなければならない点が多いことがお分かりいただけたと思います。ただし最も重要なのは亡くなった故人の偲び、遺族や親族の気持ちに寄り添うことです。また法事には普段合う機会の少ない親族・友人が集まる良い機会ですので、参列する際には親族同士の絆を深めることも故人の供養とともに大切なことだと言えます。


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