火葬における費用・時間・ペット

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火葬
ご存知の通り、火葬は日本における一般的な遺体の葬儀形式ですが、実はあまりよく知らない人も多いのではないでしょうか。火葬は1~2時間程度の時間がかかり、10~30万程度の費用が必要となります。またペットの火葬は自治体に申請すれば、数千円から実施が可能です。それでは、本日は火葬にかかる費用や時間、そして注意点や、ペットの火葬について詳しくみていこうと思います。

目次

1.火葬の費用・料金相場
2.火葬にかかる時間と流れ
3.火葬後の骨揚げ
4.火葬場(火葬炉)の仕組み
5.最近の火葬場(斎場)
6.ペットの火葬(葬儀)
7.火葬の歴史
8.最後に

1.火葬の費用・料金相場

通夜や告別式を行わず火葬のみをおこなう多くの人は、「火葬場に払う費用しか発生しないから費用はほとんどかからないだろう」と考えている人も多いと思います。しかし火葬だけの葬儀でも、実際には10万~30万程度は費用がかかってしまいます。

なぜなら日本では死後24時間以内の火葬を行うことはできません。さらには遺体を納める棺や火葬するまで遺体を安置しておく場所の確保やドライアイス、さらには棺を運送する車や人の手配も必要となるからです。つまり、火葬場のみの利用料金よりは余分に費用が掛かってしまいますので、事前に理解しておきましょう。

(1)火葬場のみの利用料金

火葬場には大きく分けて市区町村が運営する公営火葬場と、民間企業による民間火葬場の2つがあります。もちろん当該地域に居住する人にとっては公営火葬場の方が安く利用できますが、混雑している事も多く、施設数も多くないためアクセスが悪い場合もあります。そのため混雑やアクセスの理由から民間火葬場を使用するケースもあるでしょう。

・公営火葬場の費用目安
合計:5,000~40,000円(※以下内訳)
火葬料:0~20,000円
休憩室料:0~10,000円
骨壺料:5,000~10,000円

・民間火葬場費用目安
合計:60,000~100,000円(※以下内訳)
火葬料:40,000~60,000円程度
休憩室料:10,000~30,000円程度
骨壺料:10,000~15,000円程度

(2)民間葬儀会社の火葬式葬儀プラン(直葬プラン)

先ほど述べた通り、最近では少人数のみで式を行う「家族葬」や、通夜・告別式自体を行わず火葬場に直行する葬儀プランも増えています。火葬のみを行うため、「火葬式(直葬プラン)」という名称で呼ばれています。

火葬式(直葬)の葬儀プランの費用
10万~30万円
(※含まれる主なサービスは下記)
・上記(1)の葬儀場利用料金
・お迎え~安置:寝台車、安置場所、ドライアイス、枕飾り一式
・納棺:棺、仏衣、役所・火葬場手続き
・火葬:寝台車、花束、骨壺・骨箱
・式後:自宅飾り一式

ただし、火葬式の葬儀プランにはメリットもデメリットもありますので、その両方を理解しておきましょう。

火葬式(直葬)のメリット
・費用を抑えることができる

火葬式(直葬)のデメリット
・親戚や遺族から反発を受ける場合もある

2.火葬にかかる時間と流れ

(1)火葬場での所要時間

遺体の状態によって時間が変わる事がありますが、火葬場での火葬時間は早くて1時間程度、遅くとも1時間30分程度です。火葬場では集合から解散するまで早くて2時間程度、最長でも3時間程度を見積もっておけば十分と言えるでしょう。

(2)火葬式(直葬)プランの葬儀の流れ

・遺体のお迎え
ご逝去後は日本の法律上24時間以内に火葬を行うことは不可能であるため、一旦ご遺体を安置させなければなりません。病院では長時間安置させることはできず、さらには火葬場の空き状況も確認しなければならない為、一旦ご自宅か葬儀会社等の保有する安置所に搬送する必要があります。

・安置~納棺~出棺
ご自宅か葬儀会社等の保有する安置所にご遺体を安置した上で、故人を棺に納めます。そして予約した火葬場の日時に合わせて棺を搬送させます。
※火葬式(直葬)のプランによっては、この部分を代行してもらうことも可能です。

・火葬場にて
葬儀会社に頼んでいるのであれば手続きを代行してくれている場合もありますが、そうでなければきちんと「火葬許可証」を持参していきましょう。(火葬許可証は役所に死亡届を提出し、火葬許可申請をすることで得られる事ができる正式な許可証です。)

そして「火葬炉」と呼ばれる遺体を火葬する専用の炉の前で、故人に最後のお別れの挨拶をします。仏教など特定の宗派に属し、僧侶に依頼すれば火葬炉の前でお経を読んでもらう事も可能です。それらが一通り終わると、いよいよ荼毘(仏教用語で火葬を行うことで「ダビ」と読みます)に移ります。

・火葬中
上記で記載した通り、火葬時間はおよそ1時間~2時間程度なので、その間は控室や休憩室で待機します。

・火葬後~骨揚げ(収骨)
火葬が終わると火葬場スタッフから呼ばれますので、先ほどの火葬炉で収骨を行います。仏教的には、これぐらいの時点からご遺体ではなく「仏様」と呼び、お骨を拾って骨壺に納めます。火葬炉はまだ熱く、熱気が充満してますので、気分悪化などに注意してください。

・還骨法要・繰り上げ初七日法要
(※プランによって異なります)
オプションの葬儀会社が多いようですが、初七日方法をこの時点で済ませることで故人の供養を行うこともできます。

3.火葬後の骨揚げ

骨揚げ
火葬が無事終了すると、火葬場スタッフからの指示があり、全員で骨揚げ(ほねあげ)を行います。骨揚げの順番は、喪主から故人との関係性が深いう順に参加者全員で行います。正式には男女ひとりずつが2人で一組となり、男性は左側から、女性は右側から一片の骨を箸で拾い上げ、骨壺に移します。

拾い上げる骨の順番は全国共通ではなく、地域によって異なります。しかし一般的には最初に歯、次に足から腰、背、肋骨、腕、最後に頭という順番になります。そして最後に再び故人に最もつながりの深い人がノド仏の骨を拾います。ただし、どの骨なのか分かりにくい場合が多いため、火葬場の職員がどの部位か教えてくれます。

骨揚げが終わると骨壺は桐の箱などに納めて白い布で包み、喪主に手渡します。位牌と遺影は他の遺族が持ち運びます。

4.火葬場(火葬炉)の仕組み

火葬場の火葬炉自体は「台車式」と呼ばれる棺を乗せた台車ごと火葬炉に入れて焼却する方式が採用されています。約800度の高温で焼くことができ、不完全燃焼による異臭などの問題が起きにくいタイプの焼却方法です。

5.最近の火葬場(斎場)

「火葬場」というと思い描くイメージはあまり良くなく、どうしてもネガティブなイメージが付きまといます。実際、火葬場が建設予定の土地では反対運動も怒りやすい現実もありました。ただし、現代の火葬場はそのようなイメージがあることに配慮し、出来る限り火葬場としてのイメージが付きにくいように努力しています。具体的な配慮としては下記の通りです。

(1)「火葬場」という名称ではなく、「斎場」

まず「火葬場」というネーミング自体を無くしています。これはどういう事かと言うと、例えば東京都の火葬場を探してみても、「火葬場」という名前が付いてる施設はどこにもありません。実際には施設名に「斎場」、「葬斎場」、「斎苑」などという名称を用いています。

(2)火葬場を連想させる煙突の排除

また、一昔前の火葬場には焼却の為の長い煙突が付いていましたが、火葬場を連想されないように極力排除されています。

(3)施設デザインの現代化

様々な宗教の人が来ることにも配慮し、無宗教で火葬場らしくない近代的なデザインとなっているケースが目立ちます。

(4)周辺環境による火葬場の目隠し

火葬場の周囲を木々や樹木で覆ったり、山の中に目立たないように火葬場が建てられているケースも多くなっています。

(5)霊柩車のデザイン規制

これまでの霊柩車のイメージとして根強い宮型霊柩車の乗り入れを極力自粛するように呼びかけたり、中には禁止することで周辺住民にも配慮。

6.ペットの火葬(葬儀)

ペット火葬(葬儀)
ペットも大事な家族の一員として、亡くなった時には大切に弔ってあげたいと思うのは飼い主としてごく自然な考えと言えるでしょう。ペットの火葬については、安くて数千円から実施でき、20~30万円あれば立派なお葬式も挙げることができます。

ペット火葬(葬儀)の費用目安
・自治体によるペット葬儀:3,000~7,000円程度
・民間葬儀会社によるペット葬儀:30,000~200,000円程度

一般的にはペットが亡くなった時には自治体に依頼すれば火葬することができます。料金は数千円で済み、自治体によってはペット火葬後の遺骨を持ち帰ることもできます。

また、民間葬儀会社の規模にもよりますが、規模の大きいペット葬儀会社では告別式、法要、納骨、僧侶による読経まで、人間さながらに行なってくれます。小さなペット葬儀会社では車に取り付けた車載火葬炉により2~3万円で火葬してくれます。

7.火葬の歴史

では最後に、火葬に関する歴史についても振り返ってみましょう。日本における火葬という葬儀手段は、仏教の浸透とともに8世紀の平安時代以降に皇族、公家、武士などに普及いきました。

ただし、火葬自体は強力な火力が必要で、それに伴う燃料(普及しだした頃は主に薪)の確保も不可欠であるため、一般庶民にとっては土葬も相変わらずよく用いられていました。(※起源については諸説あり、縄文時代から火葬が行われた記録も存在します。)

それが江戸時代、明治時代を経るにしたがって日本の人口が増大していき、土葬のための埋葬地自体の確保が徐々に困難になっていくと共に、多量の火力を持つ燃料自体も比較的手に入れやすくなっていくことで火葬が普及していきました。

公衆衛生上の課題がある土葬と比べ、火葬は衛生的であり、費用も人手も少なくて済むため、現代の日本においてはほぼ100%の普及率となっています。

ちなみに世界的に見ると、仏教と関係性の強いヒンドゥー教では火葬が一般的ですが、イスラム教やユダヤ教、さらにはキリスト教でも死者の復活という教義を持っているため、厳格な信者の場合は火葬に対して否定的な考えを持つ人も多いようです。

8.最後に

いかがだったでしょうか?「火葬」とひとくちに言っても火葬の費用や時間、歴史、そしてペットの火葬まで様々な火葬の捉え方があるかと思います。火葬自体には公営斎場で2万円、私営斎場で8万円程度で1~2時間で実施可能ですが、火葬式の葬儀全体の費用は10万~30万円かかります。「火葬だけなら数万で可能だろう」という発想は少し考え直した方が良いかもしれません。

またペットの火葬(葬儀)も自治体に申告すれば実施可能ですし、当然人間の葬儀費用よりは格段に安いこともお分かり頂けたかと思います。


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