終活で「海洋散骨」という供養方法を学ぶ

母なる海への回帰を実現できます

散骨
樹木葬と並び、テレビや雑誌の終活特集で取り上げられるケースが多いのが、この海洋散骨です。一般的なお墓と比べ、海洋散骨という埋葬・供養スタイルはまだまだ新しいものなので、終活で検討している場合は、家族や親族としっかり相談することが大切です。自分の意志を伝えるには、エンディングノートなどを利用することも手です。

1.海洋散骨とは

新たな供養スタイルとして注目されている海洋散骨は、個人の焼骨を細かく粉末状にして海に撒く葬送方法です。「自分の死後は自然に還りたい」、「大好きだった海に眠りたい」、といった意志のある人や、諸事情でお墓を持てないといった悩みを持つ人にも良い方法です。

海洋散骨に注目が集まる背景には、「世帯人口の減少」と「少子化」が関わっています。継承者不在世帯の増加で、主に都市部を中心に人々の埋葬・供養の価値観も変化しています。

またシニア世代の多くが「残していく家族や子供に負担をかけたくない」と語っています。「負担」の中身は、「経済的負担」と「心理的負担」の2つです。海洋散骨はお墓の維持管理費用やお墓参りも必要ありません。海洋散骨は、法的には「節度を持って葬送の目的で行えば違法ではない」という解釈が一般的ですが、周囲に迷惑をかけない為にルールやマナーを守る必要があります。

2.海洋散骨のタイプ

(1)チャーター(個人)散骨

一組の家族・親族で船を一隻チャーターします。
希望の日時に出航でき、親族のみで実施するので周囲に気を遣う必要もなく、
お別れに集中できるのが最大のメリットです。船の大きさや業者によって様々ですが、
大型の船内でお別れ会ができるところもあります。要望があれば散骨主催業者に
相談してみましょう。

※当日の流れ(例)
集合⇒船長からの挨拶⇒出航⇒司会者による式の案内
⇒故人へのメッセージカード記入⇒散骨ポイントで献酒・散骨・献花等
⇒リラックスタイム⇒帰港・散会
費用:20~30万程度。

(2)合同乗船散骨

何組かの家族が乗合で乗船します。
小型の船舶では運航できないため、実施している業者はあまり多くありません。
また出航日時は指定されています。
他のグループと同時の乗船となりますが、グループごとに散骨の場所や
タイミングをずらす、といった配慮もあり、
さらには見ず知らずのグループと一緒に散骨することについては、
「気にならない」という声が大半をしめています。
金銭面での負担が少なく海洋散骨できる部分がメリットです。

※当日の流れ(例)
チャーター(個人)散骨とほぼ同様
費用:10~20万程度

(3)代行委託散骨

船には乗船せず、遺骨を業者に預けて代行して散骨をしてもらう方法です。
多くの業者では出航当日のお見送りを受け付けています。
具体的あるいは経済的に散骨クルーズへの乗船、散骨の実施が
難しい遺族が利用するケースが多いです。立ち会わないことで費用負担が
軽く済むことがメリットです。散骨主催業者によっては、実施内容の記録写真を
用意してくれるサービスもあります。

※当日の流れ(例)
儀式の内容と流れは合同乗船散骨とほぼ同様
費用:5~10万程度

(4)法要クルーズ

「散骨した場所をもう一度訪れたい」など、法要を目的に実施します。
クルーザーを貸し切って散骨ポイントまで行き、故人を偲ぶクルーズです。

※当日の流れ(例)
散骨主催業者と相談の上、プログラムを実施
費用:20万程度(引き出物等は別途負担)

3.海洋散骨のメリット・デメリット

メリット

・海や野山など自然に還りたいという故人の遺志を尊重できる
・墓石建立と比べて、費用負担が軽い

デメリット

・当日の気候に左右される
・船酔いなど、体力的に負担がかかることもある
・新しい供養スタイルなので、故人の遺志と親族の考えに食い違いが生じて、
 トラブルになる可能性もある
・お墓を持たないことから、法要など宗教的な追悼式で供養がしずらい


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