散骨の方法|費用・許可・手続き・種類(海、山、空、ペット)

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散骨
散骨とは、遺骨を墓地に埋葬せず、遺灰(細かく粉末状のもの)にして山や海にまくことです。散骨のことを「自然葬」とも呼びます。

1.散骨のメリット・デメリット

散骨のメリット
・特別な許可や届け出が必要ない
・一般的な墓地と比べて圧倒的に費用が安い(数万円~数十万円程度)

散骨のデメリット
・墓参りなど故人を偲ぶことができない

自らで行うこともできますが、遺骨を粉骨化する作業は大変ですし、ほかの人に迷惑のかからないように散骨できる場所を探すのも一苦労です。

その為、散骨は民間業者やNPO法人に任せることが一般的ですが、中には散骨を正しく理解していないために後々後悔してしまう方もいるので、まずは予習のためにも散骨の知識を学んでみましょう。

2.散骨に許可は不要

散骨に許可や手続きは必要ありません。
なぜなら、実は国が定める法律では散骨に関する規則は特に定めていないのです。

遺体の火葬や、墓地・納骨堂への遺骨の埋葬について定めている「墓地、埋葬等に関する法律(墓埋法)」を確認してみると、遺骨を墓地以外に埋葬する事については法に触れています。

しかし遺灰をまく散骨に関しては「葬送のため節度を持って行えば遺骨遺棄罪には当たらない」という記載に留まっています。つまり国は、散骨は節度(常識的マナー)をもってやれば違法ではないと言っているのです。

3.散骨のマナーや届け出について

上で述べた通り、散骨をすることは違法ではありません。また、散骨をおこなうのに法律的な手続きや提出書類も必要ありません。ただし、節度つまり常識的マナーを守らなければなりません。

海であれば公の場や漁場は避けるべきですし、山であれば所有者に許可を取るべきでしょう。もちろん周囲(遺族など)に理解が得られれば自宅の庭などに散骨することは可能ですが、その場合でも遺骨を細かく粉状に粉砕しなければなりません。

以上のことから、散骨を希望する場合には民間業者を利用したり、NPO法人「葬送の自由をすすめる会」などの会員になっておくことをお勧めします。

散骨する際のマナー

散骨をおこなう際の節度(マナー)として具体的な点も列挙しておきます。
・遺骨は粉末状に細かく砕く
感情的にも宗教的にも、さらには環境上も、遺骨をそのまままくようなことはせず、出来る限り細かく粉末状にする

・散骨をおこなう地域の理解を得る
海でまく場合には、海水浴場や漁場を避けます。撒かれる側の立場にたって考えて、理解を得るようにする

・自然環境に配慮する
自然環境を壊さないように容器やパッケージと一緒まかないようにする

・自分の土地以外に撒くときは土地所有者に理解を得る
・家族や親族など遺族の了解を得る

4.散骨の費用相場

散骨は遺灰をまく場所が海、山、空などのバリエーションがありますが、費用についてはそこまで大きく変わりません。金額が変わるポイントは、個別で行うか、合同で行うか、はたまた代行で業者に委託するのか、という「散骨への関わり方」です。

以下はあくまでもざっくりとしたものですが、大まかにはこの費用感に当てはまっていますので、参考にしてみてはいかがでしょうか。

(1)代行散骨:約3万~5万円

業者に散骨する一切の作業を任せます。費用は非常に安いのですが、散骨する現場に遺族が参加することができない点がネックです。

(2)合同散骨:約10万~20万円

数組の遺族が同じ船などに乗り、合同で散骨を行う形式です。個別で散骨を行うよりも費用が安く、散骨現場にも立ち会えるためもっとも人気があるタイプです。

(3)個別散骨:約20万~30万

ひとつの遺族のために個別でチャーターした船などに乗って散骨を行います。
東京近郊では東京湾、横浜湾、相模湾、三浦半島、湘南などが人気があるようです。

5.散骨の流れ

ここでは散骨の中で最もポピュラーな「海洋葬」の例をとって、散骨の流れを確認してみましょう。

(1)遺骨の保管

火葬した遺骨は、骨壺などに入れて散骨するまで自宅で保管しておきます。

(2)遺骨の粉末化

散骨する前に遺骨を粉末状にしなければなりません。周囲に飛び散らないように遺骨を布の袋などに入れて硬いものでたたいて粉砕します(個人ゆかりの文鎮やゴルフクラブなどを使うことが多いようです)。遺骨を粉砕するのに抵抗がある場合は、業者を利用すると良いでしょう。

(3)散骨

遺族が船に乗って現地まで行き、自らの手で散骨するケースと、遺族は乗船しないで業者に任せるケースがあります。

6.樹木葬との違い

自然葬の中で散骨と共に注目されている「樹木葬」との最大の違いは、埋葬するか、埋葬しないか、という部分です。

樹木葬は、一般的には石で作る墓標の代わりに樹木を植えるもので、墓地に埋葬する一種に分類されます。つまり樹木葬は、墓地として許可された場所に遺骨を埋葬するのであり「散骨」とは異なります。

7.散骨が注目される理由

散骨という自然葬が近年注目を浴びている背景には、高額な墓地購入に対する反発も大きく、さらには死後に海や山の自然に還りたいという人間的な感情発現も関係しているでしょう。

8.散骨する場所

(1)海に散骨する(海洋葬、海洋散骨)

海への散骨はもっとも一般的な散骨方法で「海洋葬」とも呼ばれています。一般的な海洋葬は、船で他の人に迷惑のかからない沖合まで出て散骨を行います。

船をチャーターするために、個人で行うと数十万もの費用が掛かってしまうため、最近では海洋葬を取り扱う葬儀社も増えており、数家族が合同で船をチャーターする形式をとるため費用もその分おさえられるメリットがあります。

もちろん個人で行うこともできますが、その場合には場所選びは慎重に行わなければなりません。海水浴場や漁場、養殖場などの公の場所で散骨するのはマナー違反です。海上交通のルールを守るとともに、自らの安全にも十分配慮した上で行いましょう。

また花束や大きな花環を生みに投げ入れることも節度を欠きますので、細かい花びらなどに留めると良いでしょう。

(2)山に散骨する

山で散骨する場合、国が保有する山林などではたとえ個人が散骨の申請をしたとしても認められることはありません。もちろん個人が保有する山に許可を得た場合や、自分の保有する山であれば問題ありません。

東京や神奈川、大阪、愛知などの都市で、山での散骨を希望する場合には、民間業者に依頼すると良いでしょう。都心近郊の山などで散骨に必要な場所の確保や粉骨作業をおこなってくれます。

(3)空に散骨する(空葬散骨)

海洋葬や山での散骨に比べると数は少ないですが、ヘリコプターやセスナ機などで上空から海に遺灰をまく散骨方法です。故人の故郷や自宅の上空を旋回して別れを告げたあと、所定の海の上空まで移動し、海洋へ遺灰をまきます。

(4)宇宙に散骨する(宇宙散骨)

海洋葬、山、そして空中葬よりもさらにレアなケースですが、宇宙葬という方法もあります。その名の通り、遺骨(遺灰)を専用カプセルに入れて、人工衛星打ち上げ用のロケットで宇宙に打ち上げます。

カプセルは衛星と共に地球を数周まわり、最後は大気圏に突入することで流れ星のように燃えつきます。希望により遺族が人工衛星の打ち上げに立ち会うこともできます。

(5)海外で散骨する

日本を離れて海外に散骨を希望する方や遺族もいます。その場合は海外によって法律や規制が異なりますので、事前確認が必要となります。

海外での散骨で最も人気があるのはハワイです。ハワイでは散骨に関する州の法律が存在し、禁止区域外の3マイル以上の海域であれば散骨が許されていますが、実際に散骨を行うにはライセンスが必要となるので事前に地元の葬祭コーディネーターか、国内の海外散骨業者に相談すると良いでしょう。

ちなみに遺骨(遺灰)の海外移動の際、航空会社各社の機内持ち込みは許されていますので、特に問題ありません。

9.ペットの散骨

イヌやネコ、ウサギやハムスターなどペットの埋葬が増え続けている中で、ペットの散骨も徐々に希望者が増えています。ほとんどのお墓では宗教上の理由などから人間と一緒の墓に入れることはできません。

ですから尚更ペット専門の葬儀や埋葬、散骨をしたいと思う方もいらっしゃるかと思いますので、民間業者の方に相談してみると良いでしょう。


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