新盆の準備、お布施、お供え、服装

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精霊馬
新盆は亡くなってからはじめて迎える盆のことをさします。初めてのお盆だけに遺族側も準備することに慣れておらず、僧侶の手配や準備するものなど何から手を付けて良いのか分からないという声をよく耳にします。

また僧侶へのお布施の相場や服装についてもよく分からない方も多いですよね。今回は亡くなった方の供養をきちんと行えるように新盆準備のための作法やマナーについて詳しく解説します。

【もくじ】
※クリックで、該当部分に飛びます
1.新盆の意味、由来
2.新盆の時期
3.新盆のお参り作法、供養の仕方
4.新盆に用意するもの
5.新盆の準備とスケジュール
6.新盆に贈るお供えもの
7.新盆の服装
8.新盆のお布施
9.新盆のお返し
10.新盆のよくある疑問、質問
11.まとめ

1.新盆の意味、由来

釈迦
新盆(にいぼん)とは、亡くなってから初めて迎えるお盆のことです。ただし、四十九日(忌明け前)にお盆を迎える場合には、翌年が新盆となります。新盆のことを初盆(ういぼん)と呼ぶこともあります。

(1)新盆(お盆)の起源・由来

新盆も含めてそもそもお盆の由来は何でしょうか?実はお盆の起源や由来は正確には分かっていません。ただし、2つの要素が重なっているといわれています。

◆新盆(お盆)の起源・由来1:
⇒日本には、初春と初秋の満月の日にご先祖様の霊が降りてきて、子孫と交流するという行事がありました。初春の行事はのちにお正月を祝う行事になり、初秋の行事はお盆になったと言われています。

◆新盆(お盆)の起源・由来2:
⇒「盂蘭盆会(うらぼんえ)」という仏教の行事も起源の一つと言われています。盂蘭盆会には、このような伝説的なストーリーがあります。

お釈迦さまのお弟子さんが自分の母親が天国に行ったのかどうか調べたところ、地獄で苦しんでいることを知って、お釈迦さまに相談しました。するとお釈迦さまはその弟子に、「7月15日には修行僧が多く集まるので、食べ物を供えて供養すれば救われるでしょう」と言いました。弟子がその通りにすると亡くなった母親は地獄から天国に行けた、という伝説がもとになったイベントがこの盂蘭盆会(うらぼんえ)です。

以上の2つの起源・由来がいつしか一緒になって、8月15日頃にお盆でご先祖様をお迎えする、という行事になったとされています。

(2)旧盆との違いとは

旧盆は正式には「旧暦盆」と言い、先ほど紹介した元々の盂蘭盆会の日付、7月15日のお盆のことです。

2.新盆の時期

供養
意外に思われるかも知れませんが、本来のお盆の時期は7月13日~7月16日までとなっています。特に7月13日を「お盆の入り」、7月16日を「お盆明け」と呼んでいます。ただし、現在では多くの地域で新暦の8月15日周辺に新盆を行います。

気をつけなければならないのは、四十九日(忌明け)が済んでいないうちに新盆を迎えた場合には翌年が新盆となる点です。つまり6月26日以降に亡くなった方の場合、7月13日までに四十九日が経っていないので新盆は翌年に持ち越しとなります。

3.新盆のお参り作法、供養の仕方

お参り
新盆には近しい人や親族、友人が集め、僧侶も呼んでお経を読んでもらい、集まった方々には精進料理をふるまって厚くもてなします。新盆は故人の魂が初めて戻ってくる機会と言われていますので、周りの方を集めて丁寧に供養するようにしましょう。

4.新盆に用意するもの

お盆には大きく分けて3つのものを用意する必要があります。足りていないものはなるべく早めに揃えて準備しておきましょう。

(1)盆棚(精霊棚)

精霊棚(盆棚)
台の上にすのこを敷き、位牌や燭台、香炉、花立、鈴を置きます。故人が好きだった食べ物や果物、飲み物などを供えると良いでしょう。

<盆棚(精霊棚)のつくりかた・準備方法>
◇必要なもの:位牌、燭台、香炉、お花、鈴、精霊棚(きゅうりの馬とナスの牛)、線香
◇地域によって必要なもの:そうめん、昆布、ほおずき、水の子、野菜、果物など
◇ステップ1:仏壇の前に小机や台を置いて、そのうえに簀の子やゴザを敷きます
◇ステップ2:位牌や三具足(香炉、燭台、花立)を置き、果物や野菜を供えます
◇ステップ3:後に説明する精霊馬(きゅうりの馬とナスの牛)を作って供えます
◇ステップ4:新盆期間中は家族と一緒の食事(霊供膳)を供えます
◇オプション:「ほおずき」は提灯に似ていることから、「水の子」は霊の喉の渇きを潤すようにという意味がありますので、地域や余裕があれば用意すると良いでしょう

(2)精霊馬

精霊馬
きゅうりで馬を、ナスで牛を模して作ります。これを精霊馬(しょうりょうま)と呼び、精霊棚に置きます。なぜこれを置くかというと、故人はきゅうりの馬に乗って現世にやってきて、ナスの牛に乗ってあの世に帰っていくからです。

<精霊棚のつくりかた・準備方法>
◇ステップ1:新鮮で小さなきゅうりとナスを用意します
◇ステップ2:爪楊枝を8本用意します(※割りばしは均等な長さに切るのが難しいです)
◇ステップ3:きゅうりとナスを馬と牛に見立てて、爪楊枝を指します

(3)白提灯(盆提灯)

盆提灯
故人やご先祖の魂が迷わずに家に戻ってこれるように提灯を飾って目印にします。これを「迎え火」と言います。新盆では無地、もしくは自家の家紋の入った「白提灯(白紋天)」を準備します。この白提灯は新盆が終わったら送り火として燃やすか、菩提寺(自分がお世話になっているお寺)で焚き上げて供養します。ただし最近では毎年使えるように絵柄の入った提灯を利用するケースも増えています。

一つ注意が必要なのは、同じ仏教でも浄土真宗の場合には盆棚など盆飾りを用意する必要はありません。果物やお花などお供え物をそなえてお経を読む程度でも良いでしょう。

5.新盆の準備とスケジュール

スケジュール
新盆を迎えるにあたって準備する主な流れをまとめます。この時期はどこの寺院でも僧侶は忙しくなるので、読経を依頼する場合にはなるべく早く依頼するようにしましょう。また精霊棚、盆棚に準備する仏具や白提灯もよく売れてしまうので、足りない場合には早めに買いましょう。

(1)事前の準備:8月(7月)ごろから

・僧侶に連絡をして読経(お経を読むこと)を依頼する
・白提灯(白紋天)の準備
・盆棚、提灯を組み立てる
・(お参りに来る人がいる場合は)接待用の菓子、菓子折りなどを用意する
・(余裕があれば)お墓を掃除する

(2)迎え盆:8月(7月)13日

・盆棚に位牌を移動し、お供えをする
・迎え火
・お墓参り(※地域により異なる)

(3)7月(8月)14日

・法要(僧侶による読経)
・お参りの人の接待
・お墓参り(※地域により異なる)

(4)送り盆:8月(7月)15日もしくは16日

・送り火
・お墓参り(※地域により異なる)

6.新盆に贈るお供えもの

ここでは新盆の際に、遺族に贈る際のお供えものについて詳しく解説します。基本的な考え方は、遺族が初めて迎えるお盆(新盆)であることを考えて、迷惑にならないものであれば良いでしょう。

(1)お花(生花)

花
お花はご仏前に供えるものとして、あって困らないものです。特に新盆を迎えるにあたってご仏前に供えるのには適切です。ただし家の広さなどの事情も考えたうえで迷惑にならない程度の大きさにとどめたフラワーアレンジメントなどにすると良いでしょう。また、花の種類も葬儀の時と同じように白菊やかすみ草など地味で清楚な花を選びましょう。

(2)果物

果物
果物も新盆のお供えものとして定番の贈り物です。ただし気をつけなければならない点がいくつかありますのでポイントを抑えておきましょう。

果物を贈るときのポイント
・果物の個数を奇数にする
・日持ちのする果物にする
・日持ちのしない果物の場合は缶詰や加工品にする

(3)お菓子

菓子折り
お菓子や菓子折りも新盆の贈り物としては一般的です。ただし、果物同様に日持ちのしない生クリームを使用したお菓子やケーキなどは向いていません。新盆の季節である夏に合わせて清涼感のあるゼリーなどが人気です。

(4)お線香、ロウソクなど

線香
お線香やロウソクは新盆で使用するものなので、お供え物として人気がありますが、すでに遺族側が用意している場合もあり、さらには新盆を終えると使う機会も減ってしまうため、最近では避ける傾向もあります。

7.新盆の服装

服装
新盆の服装に特に決まりはありませんが、もし新盆に呼ばれて参列することになった場合、できる限り地味で目立たない服装がベターです。特に僧侶も出席する新盆を催す場合には遺族側も参列側も、葬儀同様に喪服や黒色のドレス、スーツにしましょう。

僧侶を呼ばず、親族のみでこじんまり新盆を行う場合にも、地味な服装が無難でしょう。女性は清楚で地味なワンピースなどがベターです。

8.新盆のお布施

お坊さん
新盆を行う際によく悩むことの一つに、僧侶へのお布施の金額と、実際の渡し方です。ここではお布施の相場と渡し方について説明します。

(1)新盆での僧侶へのお布施と相場

新盆において僧侶に読経(お経を読んでもらうこと)してもらう場合には、お布施やお車代、お膳料などを支払います。車代も含めてお布施は1万円程度が一般的な相場です。

お布施の目安・相場
・お布施:5,000~10,000円程度
・お車代:3,000~5,000円程度
・お膳料(食事を辞退した場合):5,000~10,000円程度

(2)新盆でのお布施の渡し方

新盆で読経していただいた僧侶へお布施を渡す際、タイミングや渡し方もありますので詳しく解説します。

・お布施を渡すタイミング
新盆でお布施を渡すタイミングは、僧侶がお経を読み終えたあとです。お布施を渡す前に簡単にお礼の挨拶をしたうえで渡すようにしましょう。もし僧侶も食事を食べていかれる際には、食事を終えた後に同じようにお礼を一言述べたうえでお渡しするようにします。

・お布施の渡し方
お布施を渡すときは直接渡すのではなく、袱紗(ふくさ)や切手盆に載せて渡します。また、お布施を渡す際には表書きが僧侶側から見て正面になるようにします。

(3)新盆のお布施の表書き

お布施の表書きは仏教、神道、キリスト教で異なりますが、共通しているのは(二重封筒ではない)白無地か白封筒を使い、薄墨で書かないということです。

・仏教の場合
封筒の表にお布施、御提灯料、御礼、読経料、御回向料(ごえこうりょう)などと書き、その下に名前を書きます。

・神道の場合
表に御祭祀料、御礼、御榊料(おさかきりょう)などと書き、その下に名前を書きます。

・キリスト教の場合
表に献金、御礼などと書き、その下に名前を書きます。

9.新盆のお返し

お返し
新盆にはお仏前を持参する参列者も多いので、その際には菓子折りなどの返礼品を用意しておくと良いでしょう。もし新盆でのお仏前が高額だった方には後日、別途お返しをするようにしましょう。

10.新盆のよくある疑問、質問

よくある質問
ここでは新盆についてよくある疑問や質問をまとめてみましたので、気になるポイントがある方は参考にしてみてください。

疑問1:新盆で親戚から白提灯を贈られましたが、御礼は必要でしょうか?
回答1:基本的には特別な御礼は必要ありません。ただし「志」ぐらいの簡単な菓子折り程度の御礼をすると良いでしょう。また贈ってくれた方が新盆の供養に直接いらっしゃった時には、白提灯の御礼を述べ、引き物も渡すべきでしょう。

疑問2:新盆でもお中元を贈っても構わないでしょうか?
回答2:お中元とは、日ごろお世話になっている方への御礼の意味が込められいますので、贈ること自体に問題はありません。ただし、新盆は喪中なので贈り物にのし紙は使わず、無地の短冊にしましょう。

11.まとめ

まとめ
いかがだったでしょうか?初めて迎える新盆で、不慣れなことも多いですが、お盆は僧侶や贈り物なども混雑しがちで、気づいたときには間に合わないということもありますので、なるべく早めに用意して万全の態勢で初めての新盆の供養をしましょう。


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