「斎場」と一口に言っても、葬式会場を指す場合もありますし、火葬場のことを指すこともあります。では斎場とはどのような意味で、斎場に行くときには何を持って、どんな準備をすればよいのでしょうか。ここでは斎場について詳しく解説します。
1.斎場の意味
斎場(さいじょう)は読んで字のごとく、「斎」の場所という意味になります。もともと「斎」という言葉は神道において「身を清めて静かに神をまつる」という意味があります。つまり「斎場」という言葉は神をまつる神聖な場所という意味が含まれています。
そのことから斎場には「宗教儀式をおこなう葬儀の場所」としての意味しか無かったようですが、火葬場も含めて斎場と呼ぶようになりました。
2.斎場と火葬場との違い
では具体的に「斎場」と「火葬場」は何が違うのでしょうか?
・斎場:葬式など宗教儀式をおこなう場所で、公営の斎場では火葬場も併設されている場所もある
・火葬場:文字通り火葬場がある施設
以上のように特に公営の場合、斎場には火葬場も併設されている場所も多く存在しており、「斎場=葬式会場+火葬場」という意味合いが強まってきています。つまり斎場と火葬場は同じような意味なのです。
3.斎場に宿泊する場合
通夜を行う場合、斎場に宿泊する場合もあるかと思います。多くの斎場では遺族向けの控室などを用意しているところもあります。ただし、一般的には斎場はホテル・旅館業法上の宿泊施設としての許認可を得ていない所もあります。そのため布団やベッドを備えてつけておらず、「付添い」、「仮眠」としての宿泊をするケースもありますので、通夜などで宿泊する場合は事前に斎場に確認しておくとよいでしょう。というのも「付添い」、「仮眠」という形式には人数制限が設けられている場合もありますが、最低限のシャワールーム等は備え付けられています。
また、遠方から来ていただいた親戚を大事にもてなしたい場合や、体調のすぐれないご高齢の方がいる場合などは、事前に斎場に申し出ることで近隣のホテル・旅館などを紹介してくれることがあります。
4.斎場に宿泊する時に持っていくもの
ちなみに斎場に宿泊するときに持っていくものは下記のとおりです。
◆斎場に宿泊する時の持ち物
(1)礼服
当然だとは思いますが、通夜、告別式に参加するために必要な礼服は絶対に忘れてはいけない持ち物です。通夜・告別式(葬式)には和装の喪服か最低限でも略礼装を着ていきましょう。略礼装とは、いわゆる真っ黒なブラックスーツ(ドレス/ワンピース)を指します。男性の場合はシャツは白色で、ネクタイは黒、靴も金属金具のない黒色のものが好ましいです。また女性の場合、黒のドレスやワンピースに、黒のストッキング、さらに黒のパンプスです。さらにバッグは地味で金属金具の少ないものにし、アクセサリーは極力控えましょう。
(2)香典、不祝儀袋、袱紗
さすがに礼服は忘れる人は少ないかもしれませんが、不祝儀袋を忘れて慌てて斎場の近くのコンビニに買いに行く人も見かけます。香典の金額も含めて不祝儀袋についてもカンタンに解説します。
・香典の金額相場
結論から言うと、香典の金額は故人の関係性の深さによって違います。
関係性 | 香典の相場 |
両親など | 5万~10万 |
兄弟姉妹・その配偶者 | 3万~5万 |
祖父母 | 1万~3万 |
叔父・叔母・いとこ・おい・姪 | 1万~3万 |
嫁の実家・嫁の嫁ぎ先 | 1万~4万 |
ご近所の方 | 3000~1万 |
会社関係 | 5000~1万 |
友人の親 | 5000円 |
・不祝儀袋
これは香典の現金を入れる水引のついた袋ですが、葬儀を行う宗教によって表書き(不祝儀袋の表側に記載するタイトル)が異なります。
宗教 | 表書き |
仏式 | 御香典・御霊前・御仏前(浄土真宗) |
神式 | 御榊料・御玉串料・御霊前 |
キリスト教式 | 御花料・御霊前 |
・袱紗
袱紗(ふくさ)とは、不祝儀袋が汚れたり、シワにならないために包んでおく布の袋です。お葬式の受付で、紫色のふろしきのような布袋から香典を出すのを見た方も多いのではないでしょうか。袱紗に包むのは礼儀作法の一つとされています。さすがにコンビニには売っていませんが、デパート等には必ず売っていますので、持っていない方はこの機に買っておくと便利でしょう。
(3)数珠
数珠(じゅず)は別名「念珠(ねんじゅ)」とも呼び、通夜、葬儀・告別式、法事など仏教の法事儀式でお参りする際に使います。ちなみに念珠には長いものと短いものがあり、本来は長いものが正式で、短いものは略式とされていましたが、最近では短い数珠の方が一般的になっています。
ちなみに神道やキリスト教の葬式では数珠は使いませんので、持参しないようにしましょう。
(4)仮眠用着替え
斎場に宿泊する際に忘れやすいものの一つは着替えです。忙しい中、慌てて準備して出かける人も多いせいか、仮眠用の服を忘れていまいスーツのまま横になる人も多くいらっしゃいます。翌朝の葬儀・告別式にすっきりとした気持ちで臨むためにも、斎場に泊まる人は仮眠用の着替えも用意していきましょう。
(5)(女性の場合)予備の黒ストッキング
女性の場合、黒ストッキングが途中で伝線してしまうことも多いのですが、伝線したままのストッキングで葬儀・告別式に参列してしまうとみっともないです。斎場が街から離れている場合には、特に予備のストッキングも準備してから出かけるようにしましょう。
(6)タオル、歯ブラシなど洗面用具
通夜のために斎場に宿泊する場合、洗面道具も忘れてしまいがちな物の一つです。仮眠が可能な斎場には、シャワー室などが備え付けられていることも多く、その場合には当然タオルや歯ブラシが必要となります。用意の良い斎場であれば貸し出したり、売っていることもありますが、中にはタオルや歯ブラシを置いていない斎場もあります。念のためにも宿泊するために必要な洗面用具も忘れずに持っていきましょう。
5.斎場の種類
斎場には公営と私営の2種類があります。もちろん公営は市区町村が管理する施設で、私営は葬儀会社などが運営する施設ですが、ここでは具体的な違いを解説します。
◆公営の斎場
公営の斎場は文字通り、市区町村などが運営する斎場で、火葬場も含めて比較的安い料金で施設を利用することが可能です。ただし、値段が安いこともあって人気も高く、予約が埋まってしまいがちです。そのため遺体の保管上の問題から、公営斎場を望んでいても、私営の葬儀場を利用しなければならない場合もあります。ちなみに公営斎場の相場は下記の通りです。
・公営火葬場の費用目安
合計:5,000~40,000円(※以下内訳)
火葬料:0~20,000円
休憩室料:0~10,000円
骨壺料:5,000~10,000円
◆私営の斎場
私営の斎場は、民間の葬儀会社などが運営する葬祭会館および火葬場です。公営に比べてしまうと多少料金が高くなりますが、そこまで大幅に高い訳ではありません。公営斎場が混んでいる場合や、アクセスが良い場合には、私営の斎場を利用することも多いです。
・民間火葬場費用目安
合計:60,000~100,000円(※以下内訳)
火葬料:40,000~60,000円程度
休憩室料:10,000~30,000円程度
骨壺料:10,000~15,000円程度
6.各都道府県の公営斎場一覧
火葬場のある公営斎場についてはこちらをご覧ください。
⇒【東京都】火葬場のある公営斎場一覧
⇒【神奈川県】公営の斎場(セレモニーホール)一覧
⇒【埼玉県】火葬場のある公営斎場一覧
⇒【兵庫県】火葬場のある公営斎場一覧
⇒【愛知県&名古屋市】火葬場のある公営斎場一覧
火葬場のない公営斎場についてはこちらをご覧ください。
⇒【東京都】火葬場のない公営斎場一覧