都市部を中心に近年ブームとなって増えているのが、「家族葬」、「直葬(火葬式)」などの小さな葬式スタイルです。
「家族葬」とは、遺族や親しかったごく一部の友人で営む小規模の葬儀スタイルで、あまり人を呼ばない事で費用が安く済み、都市圏を中心に人気を集めています。
費用に関しては、会社によってもちろん異なりますが、通夜や告別式を行い、読経や戒名などの僧侶への費用は別料金で、葬儀料は約50万程度のものが多いです。
また、「家族葬」よりも更に格安の「直葬(火葬式)」も増加傾向にあります。「直葬」は、通夜や葬儀・告別式などの儀式も行わず、遺体の搬送、預かり、納棺、火葬のみを行うものです。
これまで「直葬」は訳ありの一部に限られていましたが、このスタイルの葬儀も急激に増えてきています。費用に関しては、通夜や告別式は行わず、20万以下の葬儀会社が多いようです。
家族葬や直葬が増加している背景には、下記のような理由があります。
・会社での人間関係、近所づきあいの希薄化
・亡くなる年齢の高齢化に伴い、故人の友人が減少
・葬儀業界自体への「値段が高い」「料金体系が不透明」というイメージ
・日本経済の長引く不況
私の母の場合も、決して大規模な葬儀とは言えず、どちらかと言えば家族葬に近い形で執り行いましたので、小さなお葬式自体が増えているという実感は私自身あります。では、価格的なメリットが大きい家族葬や直葬の注意点も見ていきましょう。
家族葬・直葬の注意点
家族葬や直葬は、近年の世相を反映して、大幅にその比率を高めているようですが、気を付けたいポイントもあります。
【主な失敗談】
・「近所の方たちから『会葬させてほしい』と突然言われた」
・「遺族だけでひっそり直葬を行ったが、あとから故人の友人たちが香典を持って、
ひっきりなしにやってきた」
・「遺族から『なぜ黙って行ったのか。知らせるべきだ!』とお叱りを受けた」
これらのような失敗をしない為にも、以下の点に気をつけましょう。
【家族葬や直葬を行う場合の注意点】
・家族のみの場合、主な親族には事前に連絡をして了解を得ておく。
・会社関係者には「家族葬なので、焼香や香典はご遠慮下さい」と事前に知らせておく。
・直葬の場合は、通夜や葬儀・告別式などの儀式がないので、
自分自身で心の準備をしっかりと持っておく。
家族葬・直葬は、価格面で大きな魅力があり、ブームにもなっていますが、単に安いからという理由で直葬を選んで、あとで後悔するケースもあると聞きます。
故人の遺志、故人の社会的関係、現在の経済力、など色々な要素を考慮に入れた上で、遺族で葬儀の方針を決めることが最も納得のいく葬儀となるかと思います。
最後に、家族葬のメリット、デメリットをまとめておきます。
■家族葬のメリット
・費用を安くできる
・家族だけで静かにお別れができる
・弔問客世話役に気をつかわずに済む
■家族葬のデメリット
・参列したい人全員が参列することはできない
・世間体が悪いなどの理由で、親戚などから理解が得られない場合がある
・香典などの扱いが相手によってバラバラになりやすい