形見分け – 渡す時期やマナー・お礼・手紙

形見分けの意味と時期、注意点

形見分け画像
故人が愛用していたものは整理するのが難しいものです。しかしいつかは整理が必要になるので、四十九日を過ぎたら遺品の整理と共に、故人と親しかった人に思い出の品として「形見分け」をしていきましょう。

1.「形見分け」とは

故人が生前に愛用していたものや思い出のものなどの一部を、とくに親交のあった友人や親族に分けて贈ることを「形見分け」と言います。形見の品物を通して故人を忘れることなく、その思い出を偲びながら大切に扱うことは故人の供養にもなります。

2.形見分けをする時期と渡し方

「形見分け」の時期に決まりはありませんが、仏式では四十九日の後、忌明けに行うのが一般的です。

「形見分け」は時計や衣類、装飾品、書物など、故人が愛用したものでまだ使用できるものを贈ります。いくら故人が愛着を持っていたものとはいえ、使い古してボロボロになったものを贈るのは失礼になります。また形見分けで贈るものは、基本的には包装しないで手渡します。

3.形見分けのマナー・注意点

注意点
ここでは形見分けをする際のポイントや注意点について解説します。いくら良かれと思って形見分けをしても、相手が嫌な思いをしたら元も子もありません。きちんとマナーを踏まえて贈りましょう。

(1)受け取る人の身になって贈る

形見分けを受け取る相手がその遺品を通して故人を思い出すモノを贈りましょう。もちろん贈るからには相手の好みに合った、喜んでくれるものを贈らなくてはなりません。汚れたものや使えないものを贈るのは控えましょう。

(2)目上の人には贈ってはいけない

形見分けは目上の者から目下の者へ贈るのが基本です。目上の人へは、希望があった時だけ贈ります。ただし、無礼を詫びる一言を添えるようにしましょう。

(3)(できるだけ)包装しない

形見分けはプレゼントではないので、箱に入れたり、包装したりしてはいけません。贈るときは全く包装しないか、包むとしたら奉書紙か半紙などの白い紙で包む程度の簡単な包装にします。また遠方の人に贈る際には、郵送の際に傷んだり、壊れる可能性もありますので、ごく簡単な包装をした方がよいでしょう。

(4)高価なものは贈らない

高価な形見分けを贈ると、相続財産と扱われ、贈与税がかかる場合があります。また受け取る人によって、形見分けのモノの価値が大きく異なると不満が出てトラブルとなります。

4.着物を形見分けする場合

着物
着物を形見分けにするケースは多いのですが、その場合には着物はリフォームして小物にします。なぜなら着物などの衣類は故人とはサイズが合わなかったり、すでに時代遅れのデザインだったりする場合があるからです。そのため着物を和服小物店やリフォーム店に持ち込み、バッグや数珠入れ等にしてから贈るのもひとつの方法です。

5.形見分けのお礼・手紙・お返し

手紙
受け取った側としては、形見分けに対してお礼やお返しをすべきか、そして手紙を書くべきか悩みどころです。ここではお礼や手紙、お礼について解説します。

(1)基本的に形見分けのお礼・手紙は不要

故人や遺族との関係性もありますし、様々な考え方があるので一概に言えませんが、一般的には形見分けのお礼は必要ありません。もともと不慶事(喜ばしい出来事ではない)ですし、形見分けはプレゼントでもありません。

(2)どうしてもお礼したい時はお供え物を

それでもどうしてもお礼しないと気が済まないと思う人は、お供え物を持参したり、郵送するとよいでしょう。お供えものなので、仏壇やお墓に手向けるお花、線香・ロウソク、果物などが適切です。

6.お金(現金)を形見分けする

現金
形見分けをする方の中には、ごく稀に現金で形見分けをしたいという方がいらっしゃいます。もし現金で形見分けをする場合には、無地の白封筒に現金を入れ、「形見分けすべきものが無いので、こちらをお受け取りいただけると幸いです」などと一言添えてお渡しするとよいでしょう。

ただし、形見分けはもともと故人が愛用していたモノを親しい人たちに分けることで、故人との思い出を忘れずに大切にする習慣から生まれたものです。つまり現金で形見分けをするというのはおかしな話です。

しかしモノが豊かな現代では、故人の使っていたものをもらう事に抵抗を感じる、もらっても使い道がなくて困る、などの人たちも多くなっていることも事実ですので、現金を贈る際には受け取る側の心理的な負担にならないように高額を渡さないことも大切です。

7.神道・キリスト教の形見分け

神道やキリスト教
神式の場合は五十日祭または三十日祭が終わった後に形見分けを行います。
キリスト教には「形見分け」という習慣がありませんが、行う場合は1か月命日に行う召天記念日(納骨日)に形見分けをするとよいでしょう。

8.寄贈することで故人の供養に

形見分けや遺品整理を行うときに、遺品を寄贈できる施設がないか探してみるのも良いでしょう。寄贈できるものは骨董品など時代的価値があるものだけではなく、書籍は図書館に、衣類や家具は福祉施設にと、寄贈できるものや
寄贈先はたくさんあります。処分する前に市民活動団体などに確認を取ってみましょう。

(1)蔵書やコレクション

蔵書や資料、コレクションなどは同じ趣味を持っている団体や研究施設などに寄贈すると大変喜ばれる場合があります。

(2)衣類

まだ十分着ることのできる衣類は福祉施設や海外支援団体で、衣類協力を行っているところに問い合わせます。


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