弔辞のマナーと注意点

依頼から書き方・読み方まで

弔辞
弔辞を依頼されるということは名誉なことでもあります。固辞せずに引き受けるのがマナーです。故人と遺族を思いやり、心を込めて弔辞を読み上げてください。

1.弔辞を依頼された場合

遺族は、故人のことをもっともよく知っている人に弔辞をお願いします。
是非ともこの人にお願いしたいと思って依頼するのです。ですので、弔辞を頼まれたときには決して固辞せずに快く引き受けるようにしましょう。

弔辞を引き受けたら、まず話す内容を考えます。「その場で思いついたことを自分の言葉で話せばいい」と考える人もいるかもしれませんが、これはマナー違反です。弔辞は葬儀後も遺族によって保存されるので、しっかりと内容を考えて原稿を作成するようにしてください。

また、長くなったり、途中で詰まったりしないように、必ず原稿を用意するようにします。弔辞を読むのは1~3人の場合が多いですが、どのくらいの長さか分からない場合は、世話人と打合せをするようにしてください。

ひとり3分間ぐらいが一般的な長さですので、400字詰めの原稿用紙で2~3枚程度を目安に考えると良いでしょう。原稿ができあがったら、事前に時間を計りながら、読んでみて下さい。また、世話人から内容が重複しないようにお願いされる場合もありますので、そのときには指示に従いましょう。

2.弔辞の書き方

弔辞は、故人の冥福を祈るとともに、遺族の悲しみを慰めるものです。
故人への気持ちを込めながらも、あまり感傷的になり過ぎないようにしましょう。

もちろん、丁寧なだけではいけませんので、難しい言葉ばかりを並べずに、ふだん話しているような口語体を使って、自分の言葉で書くことをお勧めします。



3.弔辞の読み方

司会者に名前を呼ばれたら祭壇の前まで進み、遺族と遺影に一礼し、準備してきたい弔辞を開き、落ち着いて読み上げます。
最初に「弔辞」と言ってから、故人に語りかけるよう、遺族や参列者にも聞こえるように、ゆっくり、はっかりと読み上げます。スピーチに自身がある人でも、事前に一度、誰かに聞いてもらうか、テープに録音して聞き直してみると良いでしょう。

弔辞のコツは心を込めて丁寧に読むことです。途中で涙がこみ上げてきてしまった時には、いったん言葉を切って、息を大きく吸い込みます。読み終えたら弔辞を元のように包み直し、祭壇に置いて自席に戻ります。

弔辞の注意点

(1)節度を持った表現
弔辞は遺族や参列者を悲しませるのが目的ではありません。哀悼の情を表現しようとするあまり、必要以上に悲しませるような話は避けましょう。死亡原因となった事故や病気については、あまり詳しく述べないのが、弔辞のマナーです。

(2)忌み言葉
冠婚葬祭にはあまり使わないほうがいい「忌み言葉」というのがあります。葬儀では、「くれぐれも」や「重ね重ね」などの重ね言葉が、忌み言葉とされています。不用意に使うことは避けたほうが良いでしょう。

(3)直接的な表現は避けましょう
下記のような表現は不快な想いをする可能性もあるため、なるべく婉曲的な言い回しにすると良いでしょう。
・死ぬ、死去、死亡 ⇒ 逝去、永眠、急逝、他界、帰らぬ人となる
・ご存命中 ⇒ ご生前、お元気なころ
・悲しみ ⇒ 傷心、痛恨、断腸、悲哀、哀惜、哀愁

(4)宗教に関するもの
・仏教: 浮かばれない、迷う(浄土に行けないので)
・神道、キリスト教: 冥福、供養、成仏、往生、冥途(これらは仏教用語なので)


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