終活でエンディングノートを書き進めるうちに、自分自身の葬儀も考えるようになるものです。その中には宗教にとらわれない自由な葬儀をやりたい、という結論に至る方も少なくないです。もちろん特定の宗教によらない無宗教葬にはメリット、デメリットが各々あります。
周囲の理解や協力が得られれば、素晴らしい葬儀にすることも可能です。終活で時間があるうちに葬儀についてしっかり検討しましょう。
1.無宗教葬とは?
特定の宗教・宗派の方式によらない葬儀を「無宗教葬」あるいは、「自由葬」などと呼びます。僧侶による読経や焼香などの宗教的儀式をまったく行わず、楽器を演奏したり、食事をしたりする、文字通り自由なスタイルの葬儀です。
もちろん葬儀を無宗教で行うことに法的な問題はありません。あくまでも日本の法律で葬儀に関して定められているのは下記の3点です。
(1)24時間以内に火葬できない
(2)死亡届を提出する
(3)埋葬する際は墓地に埋葬する
では、どのような人が無宗教葬を行うのでしょうか。ひとつは、もともと特定の宗教を信仰していないケースです。日本では無信仰でも何となく世間の常識から仏式で行うことが多いですが、特別に信仰している訳でもないのに、仏式で葬儀を行うことに疑問を感じる方も中にはいらっしゃるかもしれません。
また、菩提寺があっても、故人の意志で無宗教葬を行うこともあります。あるいは、参列者が非常に多い場合や、遺族の中で宗旨の対立などの問題がある場合にも、無宗教葬であれば問題が起きにくくなります。
2.無宗教葬の問題点
ただし無宗教葬にはデメリットもありますので、きちんと理解しておきましょう。
デメリット1:周囲の同意を得ることのむずかしさ
無宗教葬の最大のデメリットは、周囲の理解を得ることが難しいという点です。私たち日本人には「葬式は仏式でおこなうもの」と考える方が少なくありません。たとえ本人が無宗教葬を希望しても、家族が反対していれば実現できませんし、親戚や親しい友人などの理解が得られなければ、あとあと問題を残すこともあります。
対策としては、エンディングノートなどに書き残すなどして、本人が生前に意志表示することです。遺族に「父の最後の願いです」と言われれば、親戚も無視することが難しくなります。もちろん、エンディングノートには法的な拘束力はありませんので、遺言に記すことも有効と言えるでしょう。
デメリット2:菩提寺に埋葬できない
無宗教葬では戒名が受けられませんから、菩提寺の先祖代々の墓に埋葬こともあります。どうしても埋葬したい場合は、菩提寺と相談しなければなりません。また、菩提寺が無い場合には、宗教・宗派を問わない公園墓地などを購入すれば問題ありません。
デメリット3:プランニングが難しい
無宗教葬は習慣や伝統にしばられず自由度が高いだけに、プランニングが難しいことが特徴です。本人の意志を尊重する式にするためには、生前から「どのような式にしたいのか」ということをしっかり考えておかなければなりません。無宗教葬の経験が豊富な葬儀社に相談することも一つの手です。