通夜・葬儀をおこなうまでに、決めなくてはならないことは山ほどあります。時間がなく、精神的にも非常に辛い時期ではありますが、葬儀会社に相談する前に、家族内で話し合っておくと打合せやその後の流れがスムーズになりますので、ぜひ決めておくことをオススメします。
1.喪主の決定
「喪主」とは遺族を代表して葬儀の主催者となる人です。葬儀当日だけではなく僧侶や葬儀会社との打合せや、法要・仏事なども喪主がおこないます。一般的には、喪主は故人ともっとも縁の深い人が務めます。残された配偶者、子ども(男性)、子ども(女性)という順序で選びます。
喪主は遅くとも通夜の前までには決定しておかなければなりませんが、私の経験を踏まえて言えば、通夜・葬儀の連絡でFAXやメールなどを送ることを考えれば、すぐにでも決めた方がよいでしょう。葬儀中に挨拶をし、その後の法要や仏事も喪主が中心となって取り仕切ります。
2.お通夜・葬儀の日程決定
お通夜・葬儀の日程は、一般的には下の表のようになっています。ところが必ずしもこの通りに事が運ぶとは限りません。
というのも、僧侶の都合、火葬場や斎場の混雑ぐあいなど、様々な条件が絡み合ってくるからです。最近では、特に都市部では火葬場や斎場が混雑していることも多く、何日も待たせることが少なくありません。
実際に私の母の場合も、お通夜まで4日かかりました。まずはこれらの予約を最優先して行うことが重要です。そして、予約のとれた時間をもとに、出棺の時間や葬儀の開始時間を決めましょう。
3.宗教の確認
宗教によって葬儀内容が大きく異なってきます。葬儀は故人の所属する宗教や信仰に沿って行うのが基本となります。もし故人に決まった宗教がない(あるいは分からない)場合には家族(生家や嫁ぎ先)の宗教に合わせることが多いです。
<注意点1>故人と家族の宗教が違う場合など
次のような場合には注意が必要です。たとえば仏教徒の家族の中で故人だけがキリスト教というようなケースでは、故人の遺志を尊重するのであれば葬儀はキリスト教式で行うのが筋と言えます。ところが、菩提寺(旦那寺)に先祖代々の墓があってそこに故人の遺骨を納骨しようとするのならば、仏式の葬儀をあげていないと寺に断られるケースもあります。
この様な場合には、お通夜・葬儀は亡くなられた故人だけのものではなく、残された遺族の心のけじめにも必要なものです。納骨・法要・お墓参りなど、後々のことまで考えて決めることが大切です。
<注意点2>無宗教でおこなう場合
故人が無宗教で、自分らしい葬儀の形式(例えば音楽を流したり、生前の動画を流したりする)を希望していた場合は、その意思を尊重してあげましょう。詳しくは以下のリンクで確認してください。
≫新しいスタイルの葬儀
4.葬儀の形式と規模の決定
一般的な宗教葬儀だけなく、最近では自由葬や家族葬などの新しいスタイルの葬儀形式も増えてきています。どんな形式で行うのか、家族で話し合っておきましょう。また、どのくらいの人が葬儀に参列するのか予測も立てておきましょう。参考までに葬儀の形式を簡単に分類しておきますので、それそれの葬儀形式を見ていきましょう。
(1)宗教葬儀
平均予算:約150~200万円
宗教者を呼んでその宗教の形式に沿って行う葬儀です。菩提寺と異なる宗教や宗派で葬儀を行うと、これまでの墓への埋葬ができないこともありますので、墓のある宗派で行うのが無難です。日ごろから懇意にしている寺や住職がいないときは葬儀会社等から紹介を受けます。
(2)自由葬
平均予算:内容によって異なります
宗教や習慣、しきたりにとらわれず、自由なスタイルで行う葬儀です。故人の性格や好きなものを反映したオリジナリティーあふれる葬儀を行います。宗教葬儀に対して、「無宗教葬儀」などとも呼ばれ、最近は増えています。
(3)家族葬
平均予算:約30~60万円
家族のみでひっそりと葬儀を行います。また、最近では家族葬との区別があいまいになってきましたが、「密葬」という葬儀があります。本来の密葬は一般の人には葬儀が済むまでは死を伝えず、遺族と生前親しくしていた友人だけで葬儀を行います。
(4)直葬
通夜や葬儀などを省略し、病院や自宅から直接火葬場へ遺体を搬送して火葬を行います。費用が非常に安く済むため、葬儀へのこだわりを持たない都市部の人たちを中心に増えているそうです。
5.通夜、葬儀の会場について
葬儀の種類や規模などを考え、葬儀を執り行う会場を決めます。葬儀や形式や規模、予算などを考慮して選びます。最近では自宅や宗教施設の使用が減り、斎場が一般的になっています。私の場合も斎場でした。
(1)斎場
葬儀専用の会場です。葬儀会社が所有しているものと、公営の斎場があります。火葬場が併設している葬儀場が増えてきています。
(2)宗教施設
いわゆるお寺や教会です。
また、大きな寺院となると、寺院所有の会館などで行うこともあります。
(3)自宅
家族葬など少人数で行う場合の葬儀では自宅を会場とすることが多いようです。一般的な葬儀を開催する場合には、スペースが足りないため、減少しています。
(4)公民館など
団地やマンション所有の集合場所や、地域によっては公民館を葬儀に利用するケースもあるそうです。
(5)ホテル
お別れ会や故人を偲ぶ会などで使用されるようです。
場所柄、一般的には遺体搬入や焼香ができないところも多いのが実情です。
5.予算の決定
葬儀全体でいくらまでに収めたいのか、だいたいの予算を決めておきましょう。
6.世話役代表を選ぶ
喪主の補佐役として葬儀全般の実務を仕切る人を「世話役」と言います。葬儀社との業務のすみわけがある為、葬儀の形式や規模により異なりますが、世話役には「会計係」、「受付係」、「進行係」、「車両係」などいくつかの「係」があり、その中心となるのが「世話役代表」です。
世話役代表は葬儀の実務上の責任者です。葬儀社と打ち合わせたり、世話役の指揮を執るので、故人や遺族の事情について詳しく、細やかな心配りができ、信頼のおける人が良いでしょう。また、葬儀の知識や経験が豊富な人が適しています。通常は故人の友人、故人の子どもの友人、または故人の兄弟姉妹や配偶者の兄弟姉妹など血縁者や親戚から選ぶようです。
私の場合は、亡き母の親しかった友人が顔の広い方で方々への連絡ができ、経験も豊富な方でもあったため、その方を選びました。
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