臨終後にすること

病院と自宅での対応の違い

臨終
主治医に臨終を告げられると、普通の人であれば頭が真っ白になります。実際、私も母の臨終に立ち会ったときには、にわかに信じられず、深い悲しみと衝撃が襲ってきて、どうしたら良いのか分かりませんでした。そんな時に冷静に対処することは難しいですが、臨終後に対応すべきことを下記にまとめましたのでご参考ください。

1.末期の水

医師から臨終を告げられた後に、臨終に立てあった遺族や友人が本人の口に水を含ませて別れを告げる儀式が「末期(まつご)の水」です。「死に水」と呼ぶこともあります。

「死に水」の名前の由来は、お釈迦様が臨終の際に水を求めたという言い伝えによるもので、蘇生を願い、それがかなわなくても死後の世界で渇きで苦しまないようにと、祈りを込めて儀式をおこないましょう。

厳密な段取りや手順はあまり無いようですが、一般的には新品の筆か割り箸の先に脱脂綿を縛り付けたものに茶碗の水を含ませて故人の唇を湿らせます。ガーゼに水を含ませておこなうこともあります。

<ポイント>末期の水をとる順番
末期の水をとる順番は、遺族、近親者、友人・知人の順になります。夫が臨終を迎えた際には、妻、子ども、夫の両親、兄弟姉妹、祖父母、妻の両親、友人・知人の順に行います。臨終に立ち会った人全員で行うのが一般的ですが、幼児などに無理に行わせる必要はありません。

2.病院で臨終を迎えたとき

病院で死亡したときは、医師もそばに居て、多くの場合は死因がはっきりしているので、すぐに医師が死亡診断書という書類を書いてくれます。遺体はいったん霊安室に安置されますが、そこから自宅まで運ぶことになります。葬儀を依頼する葬儀社が決まっている場合、すぐに連絡して寝台車で運んでもらいます。

葬儀社が決まっていない場合は、病院に出入りしている葬儀社を紹介してもらうケースが多いと思います。葬儀社を病院から紹介してもらうと葬儀まで頼まなければならないのでは、と心配するかと思いますが、搬送だけでも大丈夫です。

ただし依頼するときに「搬送だけをお願いします」ときちんと断りを入れましょう。通夜から葬儀・告別式までを斎場で行う場合は、遺体を自宅に運ばず、直接斎場に運ぶこともあります。しかし、できれば一度自宅に連れて帰り、家族で過ごす時間を持つことをオススメします。

病院への支払いは、遺体の搬送時か、翌日以降が多いようです。お世話になった医師や看護師さんたちへのお礼は、後日あらためて出向く方がよいでしょう。

<ポイント>病院へのお礼は不要
病院に対してのお礼は基本的には不要ですが、特にお世話になった医師や看護師に心づけを渡すことは失礼にはなりません。最近では金品を受け取らない規則になっている病院もあるので、ナースステーションに菓子折りを届けるくらいでも良いでしょう。

3.自宅で臨終を迎えたとき

自宅療養中に、医師の立ち会いのもとで死亡した場合は、死亡診断書を速やかに書いてもらえます。もし医師のいないときに死亡した場合は、すぐに主治医に連絡を取り、死亡を確認してもらいます。主治医が不在であれば、その病院の別の医師に来てもらうか、または近くの別の医師に来てもらいます。

前触れがなく死亡した場合も、すぐに医師に連絡を取って来てもらいます。この場合、主治医がいなければ何科の医師でも構いません。医師が見つからない場合や、家族がいないときに1人で亡くなったいた場合は、110番通報で警察医を呼びます。

いずれの場合も、医師が来て死亡を確認するまでは遺体に手を触れたり、遺体を動かしてはいけません。亡くなっているか分からない場合、蘇生の可能性がありそうな場合は、119番で救急車を呼びます。

4.海外・遠隔地で死亡したとき

旅行先など遠隔地で死亡した場合には、遺体のままで搬送することもできますが、遺体の損傷や運搬費用の問題もあるため、現地で火葬することも多いようです。遺体のまま自宅に運ぶためには、遺体の損傷を防ぐための処置(ドライアイスなど)や寝台車・霊きゅう車が必要となるため、現地の葬祭業者に頼むことになります。

5.故人が臓器提供を希望していたとき

臓器提供の対象となるのは、心臓、肺、肝臓、腎臓、すい臓、小腸、眼球などです。本人が臓器提供意思表示カードを持っていた場合は、回復の見込みがないと判明した時点で担当医師にその旨を伝えておきます。脳死での臓器提供は、本人の医師表示が必要です。心臓停止後の角膜提供や腎臓提供は、家族の承諾のみで可能です。

>>【次ページ】喪主、葬儀の形式・規模など『葬儀の方針』を決めましょう。


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